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原子爆弾について(リニューアル

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~最初に~
小学生にはちょっと難しいかもしれませんが
集中して呼んでみてください。


8/6は広島に原爆が落とされた日。
そして、8/9は長崎に原爆が落とされた日。


これらの日は、日本国民なら当然のこと、世界中の人々が核兵器について考えなければならない日です。


―――――――
e=mc²
―――――――
全てはこの方程式から始まった・・・



1945年7月25日、トルーマン大統領は、「日本への原爆投下」を指令。
翌26日に連合国側が「ポツダム宣言」を発表したが、日本政府が黙殺したため、米軍は8月6日を原爆投下日に正式決定した。


そして、運命の日がやってきたのである。


1945年8月6日、午後2時。
爆撃機B‐29「エノラゲイ」は、サイパンとグアムの間にあるテニアン島より飛び立った。「リトルボーイ」と名付けられた原子爆弾を載せて・・・


やがて、広島上空に辿り着くと、エノラゲイは「リトルボーイ」を投下。
約一分後、爆発地点に達し、8時15分、原爆ドームの上空580メートルで爆発。
「リトルボーイ」は、摂氏4000度の超高熱を発し、凄まじい爆風で、全てを吹き飛ばしたのである。


爆心地から約1.5キロは一瞬の間に焦土と化し、約2キロは家屋倒壊した。
しかし、爆風と同時に流された、放射能の被害はそれ以上だったのである。


原爆が炸裂した時、広島には35万人前後の人がいたと考えられているが、その年の年末までに約14万人が死亡、そして、最終的には20万人の人が死亡したと推定されている。


生き残った人々は「太陽がもうひとつ現れた」と話し、この新兵器を「ピカドン」と読んで恐れた。(ピカッと光って、ドンと爆発したため)


さらに3日後の8月9日には、同じくテニアン島を飛び立った爆撃機B‐29「ボックス・カー」が、長崎に「ファットマン」と名付けられた原爆を落とした。


「ファットマン」も猛威を振るい、長崎では約15万人の人が死亡したのである。


広島に落とされた原爆は「リトルボーイ」と、長崎の「ファットマン」は、ほぼ同程度の殺傷能力であった。それなのに、これほど広島と長崎で死亡人数に差が出たのは、「リトルボーイ」が上空爆発であったのに対して、「ファットマン」が地表爆発だったためと考えられている。上空で爆発したほうが、広範囲に渡って爆風や放射能を拡散させることができるからである。


さて、話を元に戻そう。

―――――――
e=mc²
―――――――

これこそが世界を変えた方程式なのである。


1905年、天才物理学者アインシュタインはこの方程式を発見した。
特殊相対性理論の根幹をなす、この方程式は恐るべきことを示唆している。
非常にシンプルでありながら、これが宇宙の法則なのである。


それでは、ちょっと難しいかもしれないが、解説しよう。


みなさん、物理は何からできていると思うだろうか?
もちろん、全ての物質は原子によって構成されているのだが、ここでは、もっと根源的なことを話題にしている。


結論から言うと、アインシュタインは先ほどの方程式によって、「全ての物質はエネルギーから構成されている」ことを証明した。


そして、その方程式は、「膨大なエネルギーを投入すれば、無から物質を作ることができる」ことを示唆しているのである。


さぁ、もう一度、方程式を見てみよう。

―――――――
e=mc²
―――――――

まずは、この式を構成している記号の意味を説明しよう。

―――――――
E(物質が保有しているエネルギー)
m(物質の質量)
c(光速)
―――――――


次に、理解しやすいように、式に言葉を代入してみよう。

―――――――
エネルギー=物体の質量 ×光速の二乗
―――――――

つまり、ある物体が保有しているエネルギーは、質量に光速の二乗を掛けたものに等しいと、この方程式は言う。


「物体自身がエネルギーを保有している?」
「そして、質量に光速の二乗を掛けたエネルギーになる?」


もう少し掘り下げてみよう。


―――――――
エネルギーとは何だろうか?
―――――――


ここにボールがあったとする。
今、松坂投手が、このボールを時速150キロで投げたと仮定する。
つまり、「松坂投手にボールにエネルギーを与えた」ということができる。


しかし、アインシュタインは「ボール自体がエネルギーの集合体である」と言う。
そして、ボールがエネルギーから出来ているのならば「膨大なエネルギーを一点に集中すれば、無からボールを生み出すことも可能」と言うのである。


今、「膨大なエネルギー」と書いた。


無からボールを生み出すためには、どれほど膨大なエネルギーを必要とするのであろうか?


もう一度、松坂選手に登場してもらって、比較してみよう。
松坂選手がボールに与えたエネルギーを「y」とすると、ボールを生み出すためには、何と「100兆×y」のエネルギーを必要とする。


つまり、ボールを生み出すためには、松坂選手100兆人分のエネルギーが必要だと、この式は示しているのである。


―――――――
「ひゃ、100兆倍!?」
―――――――


当然である。もう一度、方程式を見てもらいたい。

―――――――
エネルギー = 質量 × 光速の二乗
―――――――


この式で一番重要なのは、「エネルギーが光速の二乗に比例している」ということである。
ちなみに、光速は「秒速30万キロメートル」。
この宇宙でこれ以上、早い粒子は存在しない。
(タキオンという粒子が存在するとも言うが・・・)


誰か、秒速30万キロメートルを二乗してもらえないだろうか?
はっきり言って、それは、とんでもない数字である。


物質が保有するエネルギーは「光速の二乗」に、質量を掛けるのである。
そりゃあ、松坂が150キロで投げた時のエネルギーより、100兆倍も差が出るのは当然である。


これ以上、知りたい方は、是非とも「アインシュタインの特殊相対性理論」と「ニュートンの運動方程式」を、ご自分で比較してもらいたい。
数式抜きで、ここからは説明できないので、今回は省略させていただく。



とにかく、アインシュタインは以下のことを発見した。


―――――――
「物質自体がエネルギーを保有している」
「しかも、それは光速の二乗という、凄まじいエネルギー量である」
―――――――


アインシュタインは当初、「莫大なエネルギーから物質を作ることが可能」と考えたが、「その逆もありうる」と当時の科学者たちは色めき立った。


つまり、物質を何らかの方法でエネルギーに転換することができれば、莫大なエネルギーを手に入れることができるのである。


そして、それを実現できれば、人類史上最強の新兵器を作ることができる!!!


アインシュタインの方程式に触発された科学者たちは、国家の支援を受けて、未知なる新兵器の研究を始めたのである。
「原子爆弾」、この言葉は厳密に言うと変である。
原子爆弾より強力な核兵器に「水素爆弾」があるが、この名前は原料である水素に由来している。原料が水素だから「水素爆弾」。非常に分かりやすい。


ならば、ウランやプルトニウムを原料とする「原子爆弾」は本来、「ウラン爆弾」や「プルトニウム爆弾」と呼ばれるべきである。


なぜ、これらの爆弾が「原子爆弾」と呼ばれるようになったのか?
ひとつの小説が、その謎を解く鍵となる。



1913年H,G,ウェルズが著した未来小説「解放された世界」。
その中に原子爆弾が言及されていることは、一般にあまり知られていない。


この時、世界でも始めて、原子爆弾という言葉が、小説上ではあるが、使用されたのである。その名残りで、現在も「原子爆弾」という言葉が使われる。


せっかくなので、この小説のことをもっと詳しく見てみよう。
小説のあらすじは、だいたい以下のようなものである。



□ 「解放された世界」のあらすじ


1933年に人工放射能が発見、原子力エネルギーが大規模に工業化される。
原爆の原理を発見した科学者は、原子爆弾の出現を予測し、その原理を公表するかどうか悩むのだが、結局は原子爆弾は完成してしまう。


1957年に英国、米国、仏国連合軍と独オーストラリア連合軍との間に戦争が始まり、フランス軍機が2初の原爆投下をし、全世界は荒廃する。
(3発の原爆を乗せていくが、3発目を投下する前、飛行機が撃墜される)


戦争に生き残った人々は、イタリアに集まり、国境を廃し、世界政府を樹立するのであった。



いかがであろうか?


この小説は、1913年にH,G,ウェルズが、1950年代の世界を舞台として書いたものである。

しかし、実際の社会も、この小説と、ほぼ同様の動きをとったと言えないか。
私はH,G,ウェルズの小説を、ほとんど読んだことないが、このことから、彼が見事な洞察力を持った人だということが理解できる。


それでは本題に入ろう。
「原子爆弾」・・・その原理を説明する。



昨日、「物質を何らかの方法で、エネルギーに転換させることができれば、莫大なエネルギーを取り出すことができる」と述べた。


科学者達は研究を重ね、「ウラン」や「プルトニウム」に核分裂という化学反応を起こせば、これらの物質の質量をエネルギー転換できることを発見した。



よく勘違いする人が多いのだが、その辺に落ちているウランを使っても、核分裂を起こすことはできない。(ウランは落ちていないか(笑)


核分裂を起こせるウランは、「ウラン235」という特殊なウランなのである。
プルトニウムの場合も同様で、プルトニウム239」を使用しないと核分裂を起こすことはできない。


そして「ウラン235」や「プルトニウム239」は非常に希少な物質なのである。
例えば「ウラン235」は、天然ウランの中に、わずか0.7%しか含まれていない。
原子爆弾で使用されるウランは、「ウラン235」100%果汁である。


ちなみに原子力発電所で使用される燃料には、「ウラン235」が3~5%しか含まれておらず、このような低濃縮ウランでは、原子爆弾のように核分裂の瞬間的な連鎖反応を起こす事はない。


つまり、仮に原子力発電所が爆発しても、原子爆弾にはなり得ないのである。
(とは言え、危険には変わりないが。。。)


もう一つ、よく言われることで「原子爆弾は理系の大学院生であれば、誰でも簡単に作れる」というウワサがあるが、現実、そんなに甘くない。


確かに起爆装置などは簡単に作れるかもしれないが、「ウラン235」を高濃度抽出するには、非常に高度な技術を要する。原子爆弾を開発した科学者たちも、ここで手間取ったのである。


もう一度、今までの、おさらいをしよう。


天才物理学者アインシュタインは「物質をエネルギーに転換させることができれば、莫大なエネルギーを取り出すことができる」ことを発見した。


科学者達は色めき立った。
その莫大なエネルギーを活用すれば、人類最強の新兵器を作ることができるのである。彼らは研究を重ねた。そして、ウランやプルトニウムを核分裂させれば、質量をエネルギーに転換できることに気付いたのである。

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